生活習慣病 の欧米化が進む日本人

生活習慣病 の欧米化が進む日本人

欧米化した生活習慣が日本に与えた影響

和食が2013年に世界遺産に登録されたのは、自然の美しさや季節の移ろいの表現や旬の食材を使用した新鮮さだけではなく、健康に良い栄養バランスのとれた食事と認められたからです。
しかし私たち日本人は和食離れが進み、最近では食生活の欧米化で生活習慣病、それに関連する様々な病気が急増しています。
一方アメリカでは、世界で一番良い食事は和食だと1970年代後半に気づいてから、国をあげて豆腐やみそ、魚介類、野菜などの体に良い食品を摂るように啓蒙し心筋梗塞やがんによる死亡が減っています。
今回は日本とアメリカの 生活習慣病 についてわかりやすくまとめたいと思います。

アメリカの生活習慣病への取り組み

アメリカは心筋梗塞、がん、脳梗塞、肥満がとても多いことを懸念し、1975年にアメリカ上院栄養問題特別委員会が設置され、2年間で200億円を使用し世界中の3000人を越える医師、学者などを集め、資料を分析し5000ページにわたる報告書をまとめました。この報告書は、通称マクガバンレポートと呼ばれその後の世界の健康政策の原典と言われています。この報告をする時に、マクガバン上院議員が涙ながらに、「我々はバカだった。我々は造病食、殺人職を食べていた。」と演説したことは有名です。
この報告書以降、アメリカ人は和食こそ体に良い食事だと気付き、米や豆腐、味噌などの豆製品、魚介類や野菜を積極的に摂るように心がけるようになりました。また足りない栄養素はサプリメントで補うようになりました。
その結果として、2011年には心筋梗塞による死亡を58%、がんによる死亡を17%減少することに成功しました。
しかし未だにアメリカ国民の中でも知識が不足している人や、経済的な余裕がない人は安くて簡単に満足感が得られるファーストフードや脂質の多い食事に偏りがちな傾向があります。

欧米化した食生活による日本人の変化

日本は戦後にパンの美味しさを覚えてから、徐々に欧米の食事が国内に浸透していったと考えられています。食生活の欧米化や交通手段の発達による運動不足で、気付けば日本人の生活習慣病の割合は徐々に増えていました。それに加えて、現代の日本人は4割が野菜をほとんど食べていないことがわかっています。
生活習慣病には高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などが含まれ、単独でも体に悪影響を及ぼしますが、4つ揃うと死の四重奏と呼ばれ死亡率が一気に上昇すると言われています。生活習慣病は動脈硬化を促進し、結果として心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、足の壊死、腎不全、突然死を起こします。日本人の3人に1人は高血圧、5人に1人は糖尿病と言われています。
肥満により内臓脂肪がたくさんついていると動脈硬化を促進することが明らかになり、健康診断ではウエスト周囲径を測定し(男性は85cm以上、女性は90cm以上)、メタボリックシンドロームの有無がないかを確認するようになっています。
このように短い期間で食生活が一気に変化した日本人は、今では多くの人が生活習慣病で苦しんでいます。日本人は遺伝学的に糖尿病を発症しやすいと言われているので、アメリカ人と同じような食事をしていると大変危険です。糖尿病は、進行すると目が見えなくなったり、心臓や脳、足の血管をぼろぼろにして心筋梗塞、脳梗塞、壊死を起こし、腎臓の機能も悪くし一生透析が必要になります。
このような状況を改善するために、野菜や豆類を積極的に取り入れて、間食をしない、夜は量を少なめにするなど毎日無理なくできるところから始めてみた方が良いでしょう。
他にもパンを米、ラーメンをそば、ケーキをまんじゅう、ミルクを豆乳に変えるなどカタカナのものからひらがなのものに変えるという方法も良いです。

生活習慣病における日本とアメリカの共通点

厚生省は、心血管疾患、糖尿病、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、高血圧、肥満、脂質異常症などの生活習慣病は日本人の死亡原因の2/3を占めると報告しています。日本では高血圧の患者は4300万人、糖尿病は2050万人いると考えられています。
アメリカで有名なジョンズホプキンス大学の調査によると、アメリカ人の死亡の38%は心臓病や脳卒中によって引き起こされ、8400万人が何らかの心血管疾患で苦しんでおり、1日約2200人、平均40秒ごとに1人が死亡していることが分かっています。高血圧の患者は7800万人、糖尿病は2000万人、心不全は500万人であり、68%が肥満です。また平均40秒に1人が脳卒中で苦しんでいるそうです。
上記に挙げたように、日本とアメリカを比べると死因の原因の多くを生活習慣病が占め、糖尿病の患者数はほぼ同じですが、人口比を考えると日本の方が糖尿病の割合が多いことがわかります。
また血液中の総コレステロールの数値も日本が徐々に上昇し、アメリカが徐々に減少した関係で1990年以降ほぼ同じになってしまいました。
かつては和食を中心とした食事をして健康だった日本人は、現在はアメリカ人と同じように生活習慣病に苦しみ、それに起因する病気で多くの人が亡くなっていることが分かりました。

さいごに

欧米化した食事が、いかに日本人の生活習慣病の増加を助長しているかがわかりました。
自分の力では治せない病気が多い中で、生活習慣病は毎日のバランスの良い食事を心がければ自分で防げる病気です。医学の祖と言われるヒポクラテスも、ヒトは食物から造られる以外の何者でもないと言ったといいます。毎日の食事がいかに人に影響を与えるか気付いていたのでしょう。
今のところ日本人の死因の第1位はがんで、2位が心血管疾患となっています。今後アメリカのように1位が生活習慣病に関連する心血管疾患とならないようにしたいものです。
服部栄養専門学校の理事長である服部 幸應先生は、食育(食べ方や栄養に関する教育、食を通して人間として生きるための教育)が重要と訴え、特に3-8歳の食事の摂り方がその後の食生活に影響すると言っています。文部科学省でも食育推進事業が開始されたり、食育基本法が施行され食育の重要性が認識されています。今こそ日本人は、体の健康や将来のことを見据えて、良い食事を選ぶことができる力を養うべき時なのでしょう。
外食やファーストフードで安くてすぐにお腹いっぱいになる欧米化した食事ではなく、野菜や豆類、魚などを少しずつで良いので毎日の食事に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

執筆監修:アメリカ在住 日本人医師 M.S
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