出産費を比較、日本は米国より恵まれている

出産費を比較、日本は米国より恵まれている

出産は女性の人生にとって一番大きなイベントと言っても過言ではないくらいです。昨今の日本の少子化対策として、国は妊娠出産に関する助成額を増やしてきました。
妊婦健診は妊産婦の死亡率を低下させることがわかっており、国は各自治体に妊婦1人当たり12万円を支給しており、自治体による差はありますが平均で9万5千円となっております。
出産に関しては、出産育児一時金として42万円が支給されます。このような手厚い支援はアメリカにはないため、実は日本は妊娠出産に関してとても恵まれている環境です。
アメリカは出産費用が世界で最も高いと言われていますが、その費用の内訳や出産の仕方などはどうなっているのでしょうか。
今回は出産に関する日本とアメリカの違い、費用や支払いの仕方、麻酔方法などについてわかりやすくまとめたいと思います。

出産費用に関する日本とアメリカの違い

日本では、普通分娩(経膣分娩)は50-60万円かかり、帝王切開の場合は40-100万円かかると言われています。しかし帝王切開は健康保険の適応になり3割負担なので、実際には普通分娩とほぼ同じくらいになります。入院期間は普通分娩が1週間に対し、帝王切開は1-2週間なのでその期間の入院費の差が出ることはあります。日本は42万円が支援金として給付されるため、自己負担額は約10万円で済みます。
一方アメリカでは出産に200万円かかると言われています。この金額は世界でも断トツに高いです。普通分娩は90-120万円、帝王切開160-240万円、入院費10-35万円/日、そしてこれに医師への診察料や新生児入院費がかかります。アメリカは後で説明する無痛分娩が多いため回復が早いのもありますが、出産後は1-2泊しか入院しません。アメリカには日本のように国からの助成はないため、個人や企業で妊娠出産をカバーする保険に事前に入っておくしかありません。自分が入っている保険でどこまでカバーされるかで自己負担額が変わります。
日本では妊婦がクリニックや病院に妊婦健診からかかり、出産も同じ所ですることが多いですが、アメリカでは出産の時だけ産婦人科クリニックが提携している病院へ行きます。このようなシステムにより、病院には常勤の医師がいるため、万が一産婦人科クリニックの医師の到着が遅れても問題は起きません。日本では入院費や出産費をまとめて病院に払いますが、アメリカでは病院には入院費、医師には分娩費、小児科医には新生児の医療費、麻酔科医には麻酔費をそれぞれ支払います。また小児科医や麻酔科医を事前に妊婦が決めておくことが多いようです。
アメリカでの出産費が約1200万円になったという人もいます。出産前後に入院しなくてはならず、30日間の入院費用が800万円、産婦人科医への診療費50万円、麻酔費用24万円、超音波検査費用14万円、血液検査8万円、帝王切開費用240万円だったそうです。幸いなことに旦那さんの会社が入っていた保険で全てカバーされたそうですが、自分で払うことになったら大変だったと思います。
日本は政策として出産育児一時金を42万円助成していますが、日本の1.4人前後と低めで推移している合計特殊出生率(1人の女性が一生で産む子供の人数)に良い影響は出るのでしょうか。出産費用が世界でも一番高いアメリカでは2.1人、出産費用が安いアルゼンチンでも2.2人と実は変わりがないと言われています。どちらにしても日本は、世界各国と比較しても妊娠出産に関する助成金が出ると言う点でとても恵まれていることがわかりました。

アメリカで無痛分娩が多い理由とは

アメリカでは6割が無痛分娩と言われており、硬膜外麻酔が主流です。取り除ける痛みは取るべきで、その方が体への負担が少ないという極めて合理的な考え方があるからです。日本でも最近は無痛分娩が増えてきていますが依然として全体の3%前後と言われています。日本は昔から痛みを持って産んだ方が良いという考えがありますが、アメリカでは麻酔による胎児への悪影響はほとんどなく、出産時の痛みの減少により血圧上昇の抑制、血管収縮の抑制、酸素消費量の抑制、分娩後の回復の速さにつながるため積極的に行われています。硬膜外麻酔は背中から細い管を脊髄の近くまで入れて、持続的に麻酔薬を注入できるようにします。麻酔が効くと下半身が麻痺したような状態になり、痛みを感じなくなるか感じても生理痛くらいの痛みになります。麻酔の合併症として低血圧、呼吸停止、麻酔薬によるショック、神経性合併症(麻痺など)が起こることがありますが極めて稀です。心臓や肺に病気がある妊婦や妊娠高血圧症候群といって高血圧を合併している妊婦は痛みによる体の負担を考えて無痛分娩を勧められます。
諸外国における無痛分娩の割合ですが、フランスはアメリカと同様に約60%、イギリス、スウェーデン、ドイツは約20%、イタリアは5%前後で同じヨーロッパでも差があることが分かります。

アメリカのセレブが出産のためにかける費用

最近の日本では高級ホテル並みの産婦人科も人気があり、出産入院費だけでも100万円を越えるのに満室と言われています。アメリカではすでに述べたように出産費用がただでさえ200万円と高く、一般の人は出産後すぐに退院します。しかしアメリカのセレブは高級ホテル並みの病院のスイートルームで出産をすることも多いようです。ジェシカ・シンプソンは、ロサンゼルスにあるシーダーズサイナイ病院の1泊38万円もするスイートルームで出産をしたそうです。出産時には必要ないと思うのですが、ベッドルームが3部屋もあるそうです。一般の人は出産後少なくとも2泊で退院しますが、セレブは少しゆっくり過ごすこともあるそうです。出産費用に入院費1週間分を追加すると約500万円くらいになりそうです。
世界的に有名な歌手であるビヨンセは、ニューヨークにあるレノックス・ヒル病院に1泊32万円を払いスイートルームで出産しました。数台の大きな液晶テレビやふかふかの高級ソファーがあり、窓からの素晴らしい景色を眺められるそうです。セレブの中には、出産後の食事を事前に自分の好きなものにするように注文しておく人もいるそうです。
最近妊娠を発表した里田まいさんは、噂ではニューヨークにある医療水準が高いコロンビア大学付属病院で出産するのではないかと言われています。この病院にも数万円から100万円の部屋があるため、もしかしたらスイートルームで出産するかもしれません。

さいごに

日本とアメリカの出産事情についてまとめました。
日本での出産は費用が高いと思うかもしれませんが、世界に比べると助成金がたくさん支給され、とても恵まれていることがわかりました。
妊婦健診費用も各自治体が助成して個人の負担を軽減してくれますし、日本の産婦人科の医療水準は世界で1位と言われるくらい妊産婦死亡率、乳幼児死亡率共に低いです。
最近はベビーカーを邪魔だと言う人がいたり、マタニティーマークを付けていて肘で小突かれたりしたので怖くて付けられなくなったなどという悲しい話を聞きます。昔は子だくさんで、親だけでは大変なので地域の大人がみんなで子供の成長を見守っていたと言います。日本人は毎日仕事で疲れていてストレスも多く、他人への優しい気持ちが減ってしまっているのかもしれません。
アメリカではそもそも車社会なので、電車やバスにベビーカーと一緒に乗ることは少ないですが、大人が子供を見つけると必ず笑いかけ、可愛いと褒め、お母さんにも何歳なのかなどと聞きます。可愛い可愛いと言われて育つので、自然と子供たちは大人を見ると笑いかけます。子供が泣くのは当たり前なので、誰もそれを咎めたりはしません。
少子化対策として大事なことは費用の負担や医療の水準もそうですが、女性や子供にとって住みやすい、良い環境づくりなのではないかと考えます。どの子供も多くの可能性を秘めており、未来の社会を担う大切な宝物ではないでしょうか。

執筆監修:アメリカ在住 日本人医師 M.S
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